町田 晶 先生



 21期から東さんと共に武吉塾の講師を担当することになった町田晶と申します。

 簡単に私の中国語歴を申し述べさせていただきます。中国語との出会いは大学一年の時に第二外国語として中国語を選択したことです。その後、学部では中国と日本の美術史を、大学院では中国哲学を専攻し、中国の伝統文化に対する理解を深めました。またこの頃に習得した漢文読解力は後に本格的に現代中国語を学ぶ際にも大きな力となりましたし、現在でも中国文学を理解する上で大変役に立っています。

 大学を離れてからは基本的には独学で中国語学習を続けました。年齢を重ね、これからは中国語翻訳を自分の専門にしようと考えた時、この武吉塾に出会えたことは私にとって大変な幸運でした。中国語の教科書などあまりなかった時代、ましてや日中翻訳について書かれた本などほぼなかった時代にご自分なりの方法で翻訳、通訳の技術を確立してこられた武吉先生の教授内容は含蓄に富み、その裏には揺るがない基礎が感じられるものでした。

 武吉塾で学んだことはとても大きな力となりました。塾と並行して始めた産業翻訳ではクライアントに高い信頼を寄せられるようになりましたし、また日本僑報社からは出版翻訳デビューもさせて頂きました(チーグアン・ジャオ著『悩まない心をつくる人生講義』)。

 インターネットが普及した現在、翻訳の作業は昔にくらべ圧倒的に楽になりました。その道に詳しい人に聞かなくても、大きな図書館に行かなくても、パソコンの前に座ればたいていの訳語は調べがついてしまいます。このような便利な時代に生まれたのですから私たちはインターネットの利点を十分に生かすべきだと思いますし、また実際、私の翻訳作業の多くの時間は検索に費やされています。とは言え、検索で翻訳上の問題がすべて解決される訳ではありません。翻訳という仕事の「土台」となるのは翻訳者が学習や経験の中でひとつひとつ身につけた翻訳技術であり、それは検索によって手に入れられるものではありません。

 今回、武吉先生の後継者として選んでいただいたことは本当に恐縮の限りですし、また大変身の引き締まる思いがいたしますが、これまで塾で学んできたことや仕事の中で習得してきたことを少しでも受講生の皆さんにお伝えし、この武吉塾をより素晴らしい学びの場としていければと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。


 【経歴】
町田晶(まちだ・あきら) 東北大学大学院文学研究科中国哲学専攻修士号取得。日中翻訳学院武吉塾(第3、第4、第8期)などで中国語翻訳を学ぶ。現在はプロの翻訳者として産業翻訳、出版翻訳等の仕事に携わる。得意とする分野は思想、哲学、美術、工業、食文化等。プライベートでは国際交流活動に長年参加し、中国人留学生を始めとする学生の生活支援やネパールでの教育支援などに貢献している。主な訳書に、チーグアン・ジャオ著『悩まない心をつくる人生講義』(日本僑報社、2016年)がある。
 


第5回「翻訳新人賞」受賞 (2017.2.22)
訳書『悩まない心をつくる人生講義』

人民中国誌に、2017年1月~12月(毎月)連載されました。
『悩まない心をつくる人生講義』
(チーグアン・ジャオ著、町田晶訳)

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